東京五輪なでしこJapanを振り返る─英国戦─

競技の問屋からのお知らせ

豪州・South Melbourne FCで奮戦中の大宮玲央奈選手の、東京五輪なでしこJapanの戦いぶりについてコラムを依頼し、届きました。

まずは、イギリス戦のコラムです!

なでしこJAPAN vs イギリス

この試合、ターンオーバーで臨んだなでしこJAPAN。
イギリスはイングランドのプレミアリーグで経験を積んでいたり、スピードパワーともに世界基準を肌で感じている選手たちが多いです。
と、こういう書き出しをしたのも、この試合を見て海外組と国内組には明確な差があったなと感じたからです。
元々どんな場所でも最終的には自分次第だと思っていましたし、海外組とか国内組とかそういう括りはあまり好きではないのでしたくないですが、その考えを改めさせられました。ほんの少しのことなのですが、少なくともこの試合ではとてつもなく大きな差でした。
・守備の時に人に強くいけるか
・球際で絶対に勝ってやるという気持ち
・自分のプレーに自信を持っているか

私はオーストラリアの2部リーグでプレーしています。
そしてリーグのレベルも日本やヨーロッパや他の国よりも劣ることは自覚しています。
しかし先ほど挙げた3つの要素は当たり前に標準装備されています。
これが近年のサッカーでよく聞くようになった「デュエル」と呼ばれるものなのかはわかりませんが、彼女たちはみんな「戦う」ことを楽しんでいます。
対人プレーを怖がらないんです。
日本のサッカーとオーストラリアのサッカーは何が違う?と聞かれたときに、サッカーの違いというよりも競技の違いに近い部分があると答えてきましたが、先述した部分の違いなのかなと腑に落ちました。

大味ではあるが、攻守ともに人に対して自信をもってガッツリいけるイギリス
強度はないが、巧さやスキルでは勝っている日本

どちらにも良さはあるのでどちらが正解なのかは正直なんとも言えません。ただサッカーは巧さよりも戦うことが基礎の部分だということはこの試合を見て感じました。
ラグビーは実力差があるとほとんど試合がひっくり返ることはないと聞いたことがありますが、サッカーではジャイアントキリングのように戦う気持ちや執念が実力差を埋めて勝利につながるスポーツです。そこがサッカーの魅力の一つでもありますよね。
つまり何が言いたいかというと、イギリスの選手たちの方がなでしこJAPANno選手たちよりも戦い方を知っていたんです。
なでしこJAPANの選手たちももちろん戦っていましたが、世界レベルの戦いを知ってる選手が少なかったのかなと思いました。
岩渕選手、長谷川選手、熊谷選手たちは1試合を通して球際での気持ちの強さを感じました。
戦術的なことで言えば、ビルドアップの糸口がなかなか掴めていないように見えました。
ディフェンスライン(特にCB)が相手のFWに捕まってしまっていて、もう一つ先に侵入して高い位置で効果的なボール保持をすることが難しそうでした。
CBの選手が持ち運んで相手のFWのラインを割るということもやっていかなければ厳しそうです。このプレーはベレーザの土光真代選手が上手なイメージです。
あとはせっかく崩しかけているのに中に放って高さ勝負はもったいないな〜と思う場面も多々ありましたね。

なでしこJAPANだけに限ったことではないですが、ゴールを奪うために相手のDFをどう動かしてバランスを崩していくのかをチームとしてもっと明確にした方が試合運びはしやすいなとも感じました。
個のスキルやフィーリングは本当に最後の最後で違いを生み出せます。
しかしそれは1試合に1回あるかないか、多くて2回とかほんとにそのレベルです。
チームとしての狙いを持ってチャンスを作っていくという再現性を上げ、確率を上げるということがこれからのサッカーには必要なのかなと、オーストラリア2部のプレーヤーがつらつらと語ってみました。

みんな本当にうまいんだけどな。
結局パワーとかスピードとか言われるのは悔しいよなぁ

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