大宮玲央奈選手コラム「明日へのずるい近道はないよ」|東京2020オリンピック・なでしこJAPANの総括

競技の問屋からのお知らせ

8月24日に東京2020パラリンピックが開幕いたしました。

翌日から各競技でアスリートの戦いが始まっております。すでに、日本人選手のメダル獲得のニュースが、舞い込んできております。連日熱き戦いに心震わされる日々が続くでしょう。

パラリンピック前に開催された東京2020オリンピック。

205の国と地域の約11,000人が参加し、実質19日間各競技熱戦が繰り広げられました。

わが国代表選手とチームは過去最高58個のメダルを獲得するなど、各競技大健闘しました。

改めて参戦したアスリート、コーチ&スタッフ関係者とボランティアスタッフに心より敬意を表します。

他方で少々期待外れだった競技もありました。個人的になでしこジャパン─サッカー女子日本代表の戦況について「どうしたんだろう?上手くいっていないのか?」と疑問を持ちました。

少し時間が経過した中で、より深く東京2020オリンピック・なでしこジャパンについて、掘り下げたいと。

当社・アドバイザリースタッフの大宮玲央奈選手(豪州・South Melbourne FC)からコラムを投稿して貰いました。

【大宮玲央奈選手より、東京2020オリンピック・なでしこJAPANの総括】

パラリンピックが開幕しましたね。
そんなタイミングで私なりの2020年オリンピック、なでしこJAPANの総括をしてみたいと思います。
まずは結果。
【グループステージ】
日本1−1カナダ
日本0−1イギリス
日本1−0チリ
【ノックアウトステージ】
日本3−1スウェーデン

このようにベスト8で大会を終えたなでしこジャパン。
物足りない結果だったと思います。
自国開催だったしみんなの期待も大きかったから余計に。

危機感はあったのか?

さてここからは私が今大会で感じたことをつらつらと書かせていただきます。
まずは「危機感」について。
2011年にW杯で優勝をしてから、もう約10年経っていることにも驚きですが、この10年間ですっかり世界との差は広がってしまいましたね。「世界との差縮まっている!」って思った方はあまりいないですよね。
当時から言われていたように、日本人にはないようなパワーやスピードを持った世界の選手たちが戦術やサッカーというものを考えて組織としてプレーし始めたら日本はあっという間に追い越されるという状況が現実となってしまいました。
これは今大会わかったことではないのだけれど…
この10年間で選手たちはもちろん日本の女子サッカー全体でどれだけの危機感を覚えていたのか、そして向き合って取り組んできたのか。
結果が全てのこの世界で、ベスト8という結果を見れば一目瞭然なのが悲しいところです。

海外クラブでの経験値

ただその中で感じた希望の光は「海外組」だと感じました。
前にも書いたかと思いますが、なでしこJAPANの中でも国内組と海外組の差を感じてしまったのですがみなさんはどう感じましたか?
国内組がだめと言っている訳ではなく、海外で経験している選手たちは海外の選手との戦い方を知っているということです。

W杯優勝からの10年でなでしこJAPANは海外でプレーする選手が増えました。それもこれまでのなでしこJAPANの素晴らしい結果や偉大な選手たちが作ってきたからこそです。
そして今のなでしこJAPANには海外組という名前だけでなくヨーロッパの強豪チームで活躍する選手たちがいます。


キャプテンの熊谷紗希選手なんかは本当に天晴れです。国内優勝だけでなく、チャンピオンズリーグ何回優勝しているんだ!って感じですし、そのチームのボランチでずっと試合に出ている─もう本当にあり得ないくらい天晴れなのです。(語彙力失うくらいすごいと伝えたい。笑)


岩渕真奈選手はイングランドプレミアリーグでプレーしていますし、長谷川唯選手はACミランでプレーしていましたし、他にもたくさんいます。
彼女たちは各国の代表選手とともに練習し、対戦しています。
そしてその経験は現状、日本ではできません。
日本人は一人一人のスキルや戦術理解度は世界で見てもすごくレベルが高いと思います。
ではなぜ勝てないか?

サッカーは上手いだけでは勝てないからです

デュエル?球際?フィジカル?


海外には組織力だけでは対応しきれない個の強さやスピードがあるということを知っておく必要があります。
私もオーストラリアでプレーしていて(リーグのレベルは劣りますが)日本では考えられないタイミングでのシュートや、日本では体験したことがないスピード、プレーの選択を経験しています。

オーストラリアでもこのような経験ができるのだからプレミアリーグなどではいい意味で日本の常識が通じない選手たちがたくさんいることでしょう。
「知らない」ということは、時に強さの元となることもあります。知らないからこそ勇敢になれる時もあります。
ただ現状では相手は日本サッカーをある程度知っているのに、こちらは相手を知らないという状況に近い。
この経験値というのは想像しているよりもとても大きな要素の一つだと今大会を通して感じました。

男子のU24オリンピック日本代表として試合に出場していた田中碧選手の記事を読みました。
そこで「”デュエルだの戦うだの”─彼らは通り過ぎている。チーム一体となってどうやって動いて、勝つかに変わってきている」と書いてありました。


今大会、私にはなでしこJAPANの球際の弱さ、ボールへの執念?執着?の低さが気になりました。あっさりしているというかなんというか。元なでしこJAPANの選手たちも何人か言っていたように記憶しています。
だけど世界はもう次の段形へ進んでいる。
強いなでしこJAPANを蘇らせるには避けては通れないデュエルという部分、そしてそれができてようやく次のステップである、その場のフィーリングでどうにかするのではなくチームとしての攻守の狙いをしっかりさせたチーム戦術。

選手だけでどうにかできる問題ではないし、もう一度日本の女子サッカーが世界の頂点に立つためにはサッカー界全体で考える必要があると思う。
ずっと日本が避けてきたフィジカルの問題に向き合う時がきている。
WEリーグというプロリーグが発足する今、WEリーグを盛り上げて、海外選手にもたくさん来てもらって、一緒にプレーする機会が増えて…
そういう小さいところから、少しずつでも経験値を上げて知らないことに、たくさん気づいていくことが大切なのかな。
「明日へのずるい近道はないよ」

って宇多田ヒカルも言っております。笑

勝てそうで勝てない。
そんなことは試合にでていた選手たちが一番よく感じたと思います。
その選手たちが今後WEリーグや海外でどんなプレーをしてどんな結果を出していくのか、今後に注目しましょう〜!


何が言いたいのか?

日本のスキルフルで美しいサッカーでもう一度世界一になるためにみんなで盛り上げましょうということです。(え、結論それているよね?笑)


これだけ色々なところから、様々な意見が言われているのは、やっぱり期待が大きいからだと思うし。
日本代表選手のような派手な活動にはなりませんが、私も自分ができることで日本の女子サッカー界に貢献できるように頑張ります!
結局どんな結果でも今回のオリンピックで、なでしこJAPANからパワーもらっている私でした。

今回も読んでいただきありがとうございました!
それではまた次回!!

タイトルとURLをコピーしました