【スポーツ+IT】GPSの活用がもたらすもの②

スポーツアナリスト

ラグビー・サッカーなどフットボールを中心にして、国内でのトラッキングGPSの活用は、活発化しております。何度も述べておりますが、あらゆる制約を外した中で「GPSはいらない」とする監督・コーチは、極めてセロに近い割合で、ほとんど聞かれません。
では、トラッキングGPSで実現できることを具体的に記していきます。

1、 選手のパフォーマンスデータのひとつ総走行距離が計測できる
GPS計測におけるベースとなる数値です
GPS出現前までは、映像上でセンサーなど用いる或いは肉眼で追いながら手計算する。
ライブでも手動での計測であったのです。つまり感覚が優先される「まあ、これくらい」という感じであったと推察されます。

監督・コーチ「貴様!全然走ってないぞ!何やっているのだ???」
選手「心外だ。俺は走っているぞ…何?あの言い草は???」
従来、この会話が頻繁に発生しておりました。監督・コーチが目の感覚で判断した中でのコメントです。監督・コーチの感覚がほぼほぼ合っていることもあります。他方でまったく異なるケースが多発していることも事実です。
とあるサッカー強豪高校の監督は「ある選手に“お前!走れてないぞ!もっとペースアップせんかい!」と発破をかけました。その選手は、少し怪訝な表情をしておりました。選手自身は「結構走っているのだが…」としているからです。主観と客観は対極にあるもので、またどちらが正しいとは断じにくいものです。ただし事実はひとつであることは明確です。

大宮玲央奈選手

トラッキングGPS計測では、(機器=ディバイスのトラブルや衛星からの電波発信が不安定な場合を除いて)選手が走行した距離数を算出いたします。つまりGPSの数値は事実になります。
監督・コーチ「貴様!前半は3kmの走行距離だ。皆5km以上走っている。われわれのチームは1試合で10km以上走行することを掲げている。コンディションが悪ければ言え。できるなら後半取り返せ!」
選手「3kmですか?ハードワークしていないですね。相手の動きばかりに気を取られて右往左往していました。後半は、自らハードワークする─まずは自分が積極的にランしてスペース創造に貢献します」
監督・コーチ「よし!後半は貴様の言う通りにやってくれ!」
など、より具体的な対策についての会話に変わったと。
  感覚での会話から、数値=事実をもとにして、「次どうすることがベスト?」を会話する─感情や感覚ではなく、互いに事実を見ながら客観視した冷静な会話が成立しているのです。監督・コーチは、感情や感覚による言葉で選手を鼓舞させることも大切です。感情と感覚の言葉を活かす為には、まず事実に基づいた話をすることが大切です。スポーツアナリストの視点でも、「走ってないぞ!黙ってやらんかい!」といきなり言うより、事実を元にして冷静沈着に分析しながら選手との対話を大切にしている監督。コーチのチーム・クラブが成長しております。

2、 各々の走力における質=トップ、ミドル、ロースピードそして歩きの比率がわかる
選手の総走行距離においての、走りの属性を知ることができます。
簡単に表記すると
歩き、ジョギング、ジョギングからハーフスピード、ハーフスピードから75〜80%スピード、81%スピード以上(最高速度含む)─項目については諸説ありますが、凡そ前記の属性に分けられます。
1試合フル出場で10km走行し、歩きとジョギングは何%、81%以上のスピードは何%など各選手の走行の属性=質が一目瞭然です。またライブでもチェックすることができて(GPSの電波状態に影響される)、各選手のゲームフィットネスのコンディションがチェックできて、選手交代の貴重な情報になります。また各選手のゲームフィットネスにおける現状能力を把握することができます。現状能力を把握することで、各選手のオーバーワーク予防=怪我予防と成長するためのトレーニング立案の貴重な情報となります。この項目については、稿を改めて具体的事例を紹介しながら発信していきます。

監督・コーチおよびトレーニング・フィジカル・S&CコーチにとってトラッキングGPSデータは不可欠な情報源であり、またスポーツアナリストにとっても同様です。

タイトルとURLをコピーしました