ここ数年で、大学サッカーのレベルが格段に上がってきました。
大学サッカーでも、筑波大学や流通経済大学などJリーグに近い環境下で活動しているチームが増えてきています。
天皇杯でジャイアント・キリングがあるのは、大学サッカーチームからテクノロジーを最大限駆使していることも要因の一つです。
しかし、トレーニング環境やテクノロジーの進化以外にも、指導レベルの向上や選手のマインドの変化も大きく関係しています。
高校サッカーまでのように、指導者が一から教える必要もなく、選手自身が責任を持って取り組むからこそ、大学サッカーのレベルが上がってきました。
大学サッカーでさらに自分のレベルを上げたい方、大学サッカーの指導者を目指している方に向けて、関東強豪チームが実践している「チーム作り」について紹介していきます。
大学サッカーの立ち位置について考える
高校サッカーでもなくJリーグでもない。この立ち位置こそが大学サッカーの魅力です!
どんなときでも結果が求められるJリーグだと、1回の失敗も許されません。
また、社会人の実業団チームになると、企業でのルールを守る必要が出てきます。
その反面、大学サッカーでは、あらゆるチャレンジができるのです!
様々なことにチャレンジして、失敗を積み重ねて、どんどん学びを自ら作り上げることができます。
その結果、技術レベルだけでなく、サッカーに対する思考、人として成長できるきっかけになるのです。
大学サッカーという枠組みに囚われずに、一つのツールとして捉えることが大切です。
大学サッカーという環境だからこそ、プレー以外での学びを探し続けることが、今後の人生にも大きく関わっていくのです。
選手自身が主体的に動くことの重要性
大学サッカーでは、選手自身で考えて行動することが大切です。
学生の中には成人を迎える人、社会人になる手前の人も多くいます。
高校サッカーまでと違い、「指導者と子供」という関係でなく「大人同士」の関係に変わっていきます。
これまでは指導者に言われたことをそのまま行動に移していた学生が、自分自身で考え、答えを導き出すため、これまでと覚悟や思いが大きく違います。
大学サッカーを通じて、選手自身が成長できる場にもなっているのです。
日本と海外サッカーの違い
日本のサッカーチーム(特に小・中学生のジュニアチーム)は、海外でも入賞することも珍しくなく、海外のサッカーチームよりも優位に試合をすすめることができるそうです。
これは、日本のサッカー教育と海外のサッカー教育の違いから生まれています。
日本のジュニアサッカーチームでは、コーチや監督、指導者に言われたことを着実に真面目に実行することができます。
しかし、海外のサッカーチームでは、指導者が戦術に対して教え込む多くはありません。
これが良い・悪いではないのですが、ジュニア時代から自分の得意・不得意を理解して、ストロングポイントを伸ばすようなトレーニング方法は、自分自身を考えるきっかけにもなります。
海外サッカーでは、小学校からヘディングの練習をさせないことも良い例でしょう。
引用:
小・中学生のジュニアチームでは、海外サッカーチームに勝てていたのに、高校・大学サッカーになり急に海外チームに勝てなくなる要因として、「自分で考えて行動する」ということは、大きく影響しているでしょう。
大学サッカーでの監督(指導者)の役割
大学サッカーから、監督(指導者)の役割が大きく変わっていきます。
指導者が一からやり方、考え方を教えるのではなく、選手自身が出した答えに対してサポートをする。という役割に変わっていきます。
監督(指導者)の考えを押し付けるわけではないので、選手一人一人が答えを出すため、そこに主体性が生まれます。
試合に勝たせるというだけでなく、選手たちが全力で、目標に向かって頑張れる環境を作り上げることが、大学サッカーでの監督(指導者)の役割なのです。
関東強豪チームの監督も実践
関東強豪チームの流通経済大学で監督をしている、中野雄二監督もあるインタビュー記事で、このように答えています。
私が選手たちの意見を聞かずに“中野イズム”を押し通していたら、いろいろな大会でもっと優勝していたと思います。でも、私の考えに洗脳されて流通経済大学でいい成績を残すことよりも、いろいろな考えがあることを学び、社会の中のさまざまな分野で活躍してほしい、人間として成長してほしいと思っていますので。
まとめ
大学サッカーでは、試合の勝ち負けだけでなく、社会の中で、人間として成長できる環境に変化してきています。
その結果、選手自身が考え行動することにより、Jリーグ選手とも対等に渡り合える力をつけてきました。
大学サッカーに所属している人、サッカーの指導者をしている方は、「チーム作り」の参考にしていただければ幸いです。
執筆ライター 立津雅貴