昨今のスポーツ界における、IT&ICT関連の最先端技術を駆使したソフト&ハードウェア活用は、日々進化し続けています。
そのひとつとしてとくに、サッカーおよびラグビー界で採用が増加傾向にあるのが、トラッキングGPSです。スポーツアナリストには不可欠なツールです。
GPSとは
GPSとはご承知の通り、Global Positioning System(グローバル ポジション システム)の略称で、日本語では全地球測位システムと呼ばれます。もともとは米軍軍事用のために開発されたものです。
スポーツとGPSツール
GPSは高価なツール
そもそもGPSがスポーツ界で出現したのは、2000年台はじめ豪州からと言われております。主にラグビーとサッカーでの採用が多く見られました。
わが国のスポーツ界では、約10年前から導入がはじまり、現在では同じくラグビーとサッカーが中心となった活用事例が多数を占めます。(アメリカンフットボールやハンドボール、ラクロス、フィールドホッケーでも導入されております)他方GPSディバイスおよびディバイスを充電・パソコンへのデータ転送用の機器は、10〜50万円/台という価格であったため、導入できるチームは限定的でした。
スポーツGPSによるチーム力の向上
ゲームフィットネスが数値化される
GPSを活用はチーム力向上をもたらせる、有効なツールであることは明らかです。
明らかな理由であるのは、
- 選手のパフォーマンスデータのひとつ総走行距離が計測できる
- 各々の走力における質=トップ、ミドル、ロースピードそして歩きの比率がわかる
- 各々の加速度がわかる
- 各々のフィットネスの平均値と限界値が明らかに
- 各々のフィールドでの仕事量が判明する
- 中心となるのは以上ではないでしょうか
モチベーション維持にもGPS導入が効果的
選手のモチベーションがより高まる
何よりもGPS導入によって一番多くの声をいただくのは
「選手が走ることに対する、モチベーションがより高まった」
「数値を細かくチェックしながら、練習への取り組む姿勢が変化した」
「とにかく走ることに対して、貪欲になった」
など等…選手のパフォーマンスに対して好影響をもたらしていることは
明らかです。スポーツアナリストとしても嬉しい反響です。
指導者のスポーツGPSへの意識調査
指導者のデータ活用志向は浸透している
数年前にユース層のラグビー指導者を中心に100名に対してGPSについての
ヒアリングを実施いたしました。
- Q1、予算など金銭的な制約など度外視したなか、GPSを競技力向上に活用したいですか?
- Q2、ではGPSをどのように活用したいとお考えですか?
- Q3、パフォーマンスの数値化などGPSや映像分析に期待することは?
Q1、予算など金銭的な制約など度外視したなか、GPSを競技力向上に活用したいですか?
回答は、100%「活用したい」でした
Q2、ではGPSをどのように活用したいとお考えですか?
回答は、
「選手各々のパフォーマンスについて知りたい。また成長の度合いを認識したい」
「われわれ指導者の感覚ではなく、数値化という客観的な指標により選手と対話して、個々のトレーニングの策定に役立てたい」
「データを日々取りながら、選手のコンディショニングに最大限活用したい」
「コンディショニングに関連して、怪我の予防に活用したい」
「選手のモチベーション向上の一環として」
Q3、パフォーマンスの数値化などGPSや映像分析に期待することは?
回答は、
「単なるデータの提示だけではなく、データの活かし方など、チームごとにカスタマイズした提言が欲しい」
「アナリストの方々の自己満足となる数値化ではなく、数値の裏側にある事象についてもレクチャーして欲しい」
以上、指導者の方々はデータ(数値)活用について、理解が深まっております。
つまりチーム力強化のために、必要であること─「自分の経験値こそ一番」とお考えの指導者以外は、データの重要性を理解されております。
なぜなら、数値は嘘をつかないからです。
ユースサッカーおよび高校・大学サッカー界は、GPSの採用によるチーム強化が年々増加傾向にあり、「絶対不可欠」と断言する指導者が多数を占めます。
スポーツアナリストとして伝えたいこと
スポーツアナリストとして、パフォーマンス&戦術分析とGPS数値との相関をより深めていくことが、さらに求められます。
直近で、ある高校ラグビー部にてデモンストレーションを数回実施いたしました。
選手の皆さんの反応は、1回目は興味津々でありながら、当方に対して数値など聞いてくることはありませんでした。ただし、同校のトレーニングコーチは熱心に数値について質問をいただき、やりとりさせていただきました。
2回目になると、選手から「よろしくお願い申し上げます」と言われました。
明らかにモチベーションが上がっていることが分かりました。
デモンストレーション翌日に、一部選手から「僕の数値について解説していただけますか?」と監督経由で連絡がありました。問い合わせがあった選手の数値に解説をつけて、詳細に返答いたしました。
3回目は、大多数の選手から「数値について教えて欲しい」「どのくらいの数値を目安にしたら良いのか?」などより具体的な質問を、直接行なってきました。
次世代の選手達は、数値に対して敏感で重要視していることが分かりました。そして前述通り試合およびトレーニングへのモチベーションアップに直結していることが、改めて分かりました。
GPSがもららすことについては、次回以降もシリーズで連載いたします。